TOPページ  >>  フランスの地方・豊かなる大地へ  >>  サンチャゴ巡礼路のロマネスク美術の旅


■サンチャゴ巡礼路のロマネスク美術の旅

〜フランスからピレネーを越えてスペインへ<1>〜




  2006年2月23日、例年行っている<みや美会>の旅にでた。今回の参加者は10名!5泊6日の旅である。ピレネーを越えフランスとスペインに散在するロマネスク教会を見学しようという計画である。
  ピレネー地方の街ポー(Pau)に到着した私たちは大型バスをチャーターして旅行することにした。ドライヴァーの名はジェラール、彼はスペイン語ができるというので女10人の珍道中もどうにかなるだろうー!
  毎年そうなのだがバスの中で黙っているわけにもいかず参加者はテーマがあってそれを勉強してバスの中で発表することになっている。

今回のテーマは
* バスク色々
* サンチアゴデコンポステーラへの巡礼
* ロンスヴォー(スペイン名・ロンセスバイエス)物語
* スペインロマネスク
* ナヴァール王国の歴史
* フランシスコ・ザビエル
* アラゴン王国の秘密
* サンファンドラペーニャ修道院
* ピレネー地方とポーの街の魅力
* 全行程の歴史建造物の解説
さーこれから5泊6日の旅が始まる。

1日目:オロロンサントマリー * オピタルサンブレーズ −* サンジャンピエドポール

  オロロンサントマリーではサントクロワ教会(Eglise St-Croix)とサントマリー聖堂(Cathedrale Oloron Ste-Marie)を見学サントマリー聖堂はいろんなロマネスクの本で紹介されていて一度は見学したいと思っていたので感激。
  黄色と粗い石組みの帯でできている正面には24人の黙示録の長老が並び手におのおのの楽器をもっている、またこの地方の庶民の生活が表現されていたりする、例えば、鮭をかついでいる者、いのししをかついでいる者がいたりして素朴で魅力的なロマネスクの彫刻である。
  この教会の前に<アルルの道>の巡礼路でありサンジャックまで948Kmという標識がたっていた。



  あまり期待をしていなかったオピタルサンブレーズ(Hopital St-Blaise)はピレネーの谷の奥の小さな村にあった。人の気配も感じさせないような静まった村にそれでも夏になると見学者がくるのか2軒ほどのホテル・レストランがあった。今はシーズンオフなので見学者は私たちだけ、誰にも遠慮することなく見学することができた。この小さな教会が今では今回の私の旅の収穫のひとつになっている。



  オピタルという名前が示すようにここはかつて「救護所教会」であった。病気になった巡礼者や傷ついた巡礼者を収容した。こうした教会は祈りと救済の他、巡礼者の行路を盗賊から守るためのテンプル騎士団や修道士たちの中継所ともなっていた。
  12世紀末〜13世紀初にかけてスペイン人によって建造された。かなり修復されている素朴な正面はキリストと四福音書記の象徴、そして植物文様とグリフォンの柱頭彫刻などシンプルで中々微笑ましい。
  内部はギリシャ十字形で上を見上げるとオロロンのサントクロワ教会と同じように星形の8本の支柱が見える、これを私は八ぼう星と呼んでいる。



  サンチアゴへはフランスから四本の巡礼路がありその三本がオスタバで合流するが実際にはオスタバの近くにある<ステール・ド・ジブラルタール>で合流した。私たちもぜひその場を確認したくてジェラールに無理をいいそこにつれていってもらった。他の運転手だったら断られていただろうと思わせるくらいに狭い田舎道でかつては何万人もの巡礼者が合流した場所なんて信じられないくらいだがしかしそこにはちゃんとバスク風のステール(標識)がたっていた。
  ジェラールに感謝!私たちもそこで記念撮影!
  オスタバを出発した巡礼者たちはフランス最後の宿場町ピレネーのふもとにあるサンジャンピエドポールに到着する。ポールとはバスク語で山という意味、ピエはフランス語で足という意味なので町の名は山のふもとのサンジャンということになる。
  夕方に到着した私たちは旧市街にあるホテルにチェックインした後おのおの町の散策に繰り出していった。
  七つの門に囲まれた旧市街は近くで採れる赤い砂岩で建物が造られている。バスク特有の赤い色が建物に塗られ独特な雰囲気をかもし出している。
  かつて巡礼者は丘の上に造られているサンジャックの門(ヤコブの門)から町に入ってきた(世界遺産)。サンジャックの門から続くシタデル通りはまっすぐニヴェ川まで続いている。その道沿いには「巡礼の家センター」や16世紀の家をはじめ古い民家が並ぶ。時々、家の前にホタテ貝を飾り巡礼者を迎える民宿であることを示す家が目に付く。
  明日はピレネーを越えてスペイン入りする。


宮永 佳子
>>プロフィール




本サイトはフランス日本語ガイド通訳協会(AGIJ)の公式サイトです。
紹介頂く分にはリンクフリーですが、個々の記事、写真等の無断転載はお断りします。