(写真1) |
ギャンゲット(GUINGUETTE)は時代の流れに消え去ろうとしています。GUINGUETTEとは飲んで食べてダンスするところです。しかしパリからはほとんど消え去りました。19世紀末にモンマルトルに住んだゴッホが<Guinguette>(オルセー美術館)という絵を描いています。建物は今でもレストランとして残っておりゴッホのコピーが窓辺に掛けられています(写真1)。ゴッホの心を表している暗い淋しい絵でダンスなどはしていません。明るいギャンゲットの雰囲気はわずかにムーランルージュのフレンチカンカンに面影を留めているかもしれません。パリからギャンゲットは消えてしまいました。 |
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しかし東郊外のセーヌ支流・マルヌ河沿いの町ジョワンヴィル(Joinville)には今でも<シェ・ジェジェヌChez Gegene>(写真2)と言うギャンゲットが残っています。そこでは消え去ろうとしている百年前の懐かしい雰囲気を十分に味わうことが出来ます。だだっ広いホールには踊り場が2つ設けられ周りをテーブルが取り囲んでいます。
(写真3)ホールの中央にはミュージシャンの舞台がありポピュラーな歌が聞こえてきます。料理は味も数もごくシンプルですがアットホームな味と値段です。ワインを飲むごとに客はお喋りに花を咲かせていき、15時からいよいよダンス音楽が始まります。すると徐々に客たちは踊り場の周りに集まって来て思い思いのダンスに興じたり、ただ座って観ている人たちもいます。ダンスを楽しみに来ている常連カップルは陶酔状態になって行きますが、初めての客には良い模範を示してくれます。
19世紀末、マルヌ河辺に難破した伝馬船(ペニッシュ)をギャンゲットにしたことがきっかけで人気を呼び、20世紀初頭、Eugene Favreuxなる者が受け継ぎました。彼はギャンゲットをショウ的なものにして評判を呼び今日までファミリー経営が続いております。
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(写真2)
(写真3) |
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(写真4)
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何かお祝い事がある時、パリ祭の時、あるいはツーリスムのエヴェントとしてギャンゲットで飲んで食べて喋って踊れば忘れ難い楽しいひと時を過ごせること請け合いです。その時始めてオルセー美術館のルノアールの<田舎のダンス>や傑作<ムーラン・ド・ラ・ギャレット>を体で理解できるかもしれません。(ムーランの建物は今でもモンマルトルに残っています(写真4))。 |
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<guinguette>と言うフランス語が時代の流れに消え去らないように今日もChez Gegeneはマルヌ河(写真5)のほとりに開店しています。 |
(写真5) |
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<協会HP文化部>
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