TOPページ  >>  パリ・散策  >>  パリの街路樹


■パリの街路樹



  自然のもたらす風情を提供してくれる街路樹は、パリの町並みに一層の彩と心の安らぎを与え、爽やかな木陰を作り、炭酸ガスや騒音から生活を守り、鳥たちを庇護し、町の景観を飾り、季節の到来を告げる。
 パリの樹木は都会で生活する人々にとって二つの役割を持つ。一つは自然の法則の中で生きている樹木は時を刻みながら成長し、老朽化していく。街路樹の寿命は森の中の樹木より短く大体80年という。こうして都会の生活で忘れがちな自然の営みを私たちに教えてくれる。
 もう一つは、樹木は古代の昔、精霊の宿るシンボルであった。樹木は常に人々に精神の安寧をもたらしてくれる。木陰は太陽の陽射しから私たちを守るだけでなく、休息とまどろみのひと時、語らいの場を作ってくれる。
 パリには5218の通りがあり、約1400の通りに街路樹が植えられ、10万本の並木を数える。ブーローニュやヴァンセーヌの森や公園の木を合わせると全体で49万本の樹木を持つパリ、人口220万のパリ市民は4人に1本の樹木を所有していることになる。
 現在パリの街路樹として植えられている樹木は140種類にも及ぶが、代表的なものは、プラタナス約40%、マロニエ15%、菩提樹10%、エンジュ9%、楓6%、トネリコ3%、ニセアカシア3%、ポプラ1,5%、楡1,4%、桐1%等である。





  その中でもマロニエは真っ先に季節の到来を告げてくれる樹木で3月にはいると葉が芽を吹き、春の訪れを告げ、4月の中頃、花が咲き出し4月の終わり頃、ちょうど日本のゴールデンウイークの頃、花盛りとなる。8月の半ば過ぎバカンスが終わりに近づく頃には、葉が枯れ初め、夏の終わりを知らせる。ジャック・プレベールの詩“枯葉”のように、パリはマロニエの落ち葉の舞う中で新学期、新しい生活が始まる。





又桐の花は美しい紫で、今年も春のパリを彩る。
この美しさを皆様にお見せしたくてパリの樹木の記事をしたためた。


森 峰子
>>プロフィール



本サイトはフランス日本語ガイド通訳協会(AGIJ)の公式サイトです。
紹介頂く分にはリンクフリーですが、個々の記事、写真等の無断転載はお断りします。