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■ミシュラン・ガイド2014年

 
 ミシュラン・ガイド2014年度版には、4384軒のレストランが紹介され、星付きは610店です。
 
 今年の傾向は、料理界に若い世代が台頭してきている事で、20代のシェフが7人も新たに1星に輝きました。また、昨今の不景気感を示すように、お昼のメニューに限られますが、30ユーロ以下の星付きレストランが115軒もあり、喜ばしい傾向です。

 三つ星店はフランス全土で27軒。新たにこの栄光に加わったのは、ランス郊外<ラシエット・シャンプノワーズ>(l'Assiette Champenoise)の39歳のシェフ、アルノー・ラルモンArnaud Lallementです。彼は、地元で今は亡き父親と共にこのレストランの発展に尽くした人で、既に“ゴー・エ・ミヨ”でも高い評価を得ていて、<今年の料理人>に選ばれています。

 昨年からプラザ・アテネ・ホテル内のアラン・デュカスの3星レストランは、ホテル改装工事のため閉鎖され、その後デュカスは、ヤニック・アレノの抜けたムーリス・ホテル内のレストランを受け継ぎました。その星の去就がどうなるかと心配されていましたが、無事ムーリスでも3星を維持できるようです。

 2星レストランは全国で79店で、そのうち新規は6軒です。
パリでは、33歳のシェフAkrame Benallal の16区にあるレストラン<Akrame>が2星に輝きました。
シャンティーイのシェフArnaud Faye の <La Table du Connetable>も2星獲得です。
アルザス・ワイン街道カイゼルベルグの<Le Chambard>のシェフOlivier Nasti も2星です。
また話題になっているのは、イタリア人のシェフStefano d'Onghia が、Mulhouseの<Il Cortille>で、イタリアン・レストランとしては、初めて2星を獲得した事です。
他の新規2星店は、カシスの<la Villa Madie >と、クールシュヴァルの<le Kintessence>です。

 星を失ったレストランは53軒で、一気に2星から星無しになった所は3軒もあります。
とくにパリの歴史あるアラン・サンドランの店が星無しになったことは、大ニュースです。サンドラン自身が、昨年の夏の終わりに定年で現役を引退したという事情もあるとは思いますが、、。19世紀後半にロベール・ルカによってオープンしたレストラン、その後、婿のフランシス・カルトンの手に渡り、日本のバブルの時代には、アサヒ・グループにオーナーが移り、長い間<ルカ・カルトン>という名で、シェフのアラン・サンドランのもとで3星を維持していた歴史あるレストランです。1998年からは、サンドランが友人の協力を得てオーナーになり、2005年には、サンドラン自身が3星を返上して、ブラスリー・デュ・リュックスとして頑張っていました。歴史的建造物に指定されている、マジョレル内装のレストランがどのように変身するのか、サンドランがカムバックするという噂もありますし、今後の動向が楽しみです。

 観光地のサンテミリヨンのl'Hostellerie Plaisance、及びポン・デュ・ガールの l'Hostellerie Le Castelles も2星から星無しになってしてしまいました。観光地のレストランは、星を維持するのがなかなかむずかしいようです。

 パリの<ラピシス>l'Apiciusは2星から1星になりました。
1星から星無しになってしまったレストランは、パリに7軒もあり、それらはVivellec, Stella Maris, L'Instant d'Or, La Bigarradeなどです。

 1星レストランはフランス全土で504店、そのうち新たに星を獲得したのは57店で、パリでは、新規に9軒も1星に輝きました。その9軒中3軒が日本人シェフの店で、和食レストランも2軒入っています。
1区の<JIN 仁>と、8区の<OKUDA 奥田>です。<OKUDA>の東京店は、既にミシュラン・ガイド日本版でも星付きです。
これからも本格的な日本料理店がどんどん”多国籍食の都パリ”に進出してきて、本物の和食を外国人に紹介してほしいですね。
もう1軒の日本人シェフの店はフランス料理で、本城昴結稀シェフの<ES>7区です。
また、リヨンでも新たに3店が1星を獲得です。タカノタカオさんの店(彼は他の店で既に星を取っていますが)、<Takano Takao>も1星獲得です。
日本人シェフの星付きレストランは、フランス中に20店もあります。

 他のパリの新1星レストランは、2区の<Goust>、11区<Qui Plume la Lune>、11区< Septime >、16区<Le Saint-James>、17区< Rech>、そして、改築の終わったばかりのホテル・プランス・デュ・ガール内レストラン< La Seine >です。ここのシェフは、女性のStephanis Le Quellecで、今年は、彼女のような女性の活躍が目立ち、新たに4人の女性シェフのレストランが星を獲得しました。

 2014年度の<ビブ・グルマン>(地方では31ユーロ以下、パリでは35以下のメニューの”お買い得”レストラン)は、651軒で、そのうち昨年よりも多い110軒が新たに紹介されています。

 最近話題になっているのは、シャンゼリゼの香水店ゲランの地下に昨年11月末にオープンしたばかりの<Le 68, Guy Martin>です。
2星レストラン<グラン・ブフール>のギィ・マルタンとゲランのコラボレーションです。ゲランはLVMHグループですので、高級ワインは、同グループのドン・ペリニヨン、シャトー・イケム、シャトー・シュヴァル・ブランとかがメニューに載っていますが、安めの各国ワイン(ニュージランド、スペイン、アルゼンチン産)も揃っているようです。
メニューは60ユーロ位ですし、場所もシャンゼリゼという事で、観光客も行きやすく、これから評判になりそうです。
 





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