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■ミシュラン・ガイド 2011年

ミッシュラン・ガイド2011年は、3月3日発売されました。

   
   

今年は、このところの不景気を反映してか、新たな3星は生まれず(1992年以来今まで毎年新たな3星が誕生していたのですが)、そのかわりお値打ち感のある<Bib Gourmand>が117店舗も誕生しました。これで、ビブ・グルマンの数は全国601店になりました。

 ビブ・グルマンとは、前菜、主菜、デザートで、地方では29ユーロ以下(週末は33ユーロ以下)、パリでは35ユーロ以下のレストランです。

気軽に行けますし、近年のビス トロの流行と重なって今や大人気です。


 2月の中頃の噂では、フォー・ シーズンホテル内のレストラン<Le Cinq>、ランスの<L'Assiette Champenoise>、そしてムジェーヴのレストランが3星になるのではないかと噂され ていたのですが、見送られたみたいです。

とくに<Le Cinq>のシェフのエリック・ブリファー(Eric Briffard)はプラザ・アテネホテル内のレストランを3星にした功労者なのですが、そこにアラン・デュカス・グループが入ってきて、彼はプラザ・アテネを辞めたのです。

奥様が日本人ということもあるのかもしれませんが、アジア料理に精通していて、食材を生かす繊細な料理を得意とし、ロブションさんの所で修業した大変優秀な料理人です。


 今年3星を無くした所は一軒だけ、 ペリゴールのミッシェル・トラマです。

これで3星は、全国で25軒で、内10軒がパリにあります。


 2星レストランは新たに5軒が加わり、全国で76軒になりました。

2星で話題になりま したのは、去年のミシュラン情報で紹介したパリの日本人シェフ、佐藤伸一さんの店<le Passage 53>です。オープンしたばかりで1星を取り、そして今年は2星です! ここの食材の良さ は注目の的です。

それもそのはず、野菜はJoël Thiébault、肉はHugo Desnoyer からの物というようにこだわりがあるのです。

   
   

 もう1軒、話題の店は、7区のla Brasserie Thoumieux の上に元クリヨン・ホテルのシェフ、ジャン・フランソワ・ピエージが去年オープンしたばかり のレストランが2星に輝いたことです。

   
   

またシャンゼリゼのドラッグストアー内にできたばかりの、ロブションさんのパリでは2軒目の<アトリエ>も、オープ ンと同時に2星です。

   
   

 でもロブションさんの<ラ・ ターブル・ドゥ・ロブション>は星を1つ落とし、今年は1星になってしまいました。


2星から1星になってしまった店は4店、1星を無くしてしまったレスト ランは33軒で、パリでは<モンパルナス25>が星無しになりました。


 今年新たに1星になった店は46軒あります。

そのなかでも1星に輝いた話題のレストラン は、リヨンの<Nikolas le Bec>を受け継いだ<タカオ・タカノ>です。

このような日本人シェフの活躍 ぶりを見ると嬉しくなりますね。


 新しい1星レストランでは若いシェフ 達ががんばっていて、お客に気軽に来てもらえる、小さくても自分の店をオープンするというところも多くなってきているようです。


 今年のミシュランは、ビック リするような動きはなかったのですが、嵐の前の静けさで、来年は大きな変化があるような予感がします。

なぜかと言いますと、昨年暮れ にオープンしたシャングリラ、フィリップ・スタルクの内装が評判のロワイヤル・モンソーなどのパラスホテルに高級レストランができる予定ですし、今年の5月中旬には、サントノレ通り にマンダリン・オリエンタル・ホテルがオープン、そして凱旋門の近くには、ペニュシュラ・ホテルが建設中で、来年後半には完成予定です。

   
   
 それぞれのホテルでは、今か らシェフ争奪作戦が練られているかもしれません。


 昨年、高級フランス料理がユ ネスコ無形文化世界遺産に登録されました。

観光客はフランスに食文化も楽 しみにきます。その時のレストラン選び、ホテル選びに役立つのがミシュラン・ガイドです。

調査員が3年に一度しか来てくれないと 言う地方のレストランの不満も聞こえてきますし、また年々販売数が減ってきているようですが(昨年は30万冊、一昨年は38万冊)、毎年3月のミシュラン・ルージュの 発売日が楽しみです。



松下 光子
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