スペイン第2の都市・バルセロナは地中海の光を浴びて伸び伸びと育っているという印象を与える都市です。スペインというよりカタルニアと言われることを好むバルセロナ。その中心はカタロニア広場です。そこから海の方へ、ラ・ランブラス大通りが始まります。バルセロナに着きましたらまずこの通りをブラブラと歩くことです。すると直ぐにこの町の魅力に取りつかれることでしょう。どこの都市でも通りの真ん中は車道ですがラ・ランブラスは人の道が真ん中で幅広く逆に車道は狭く両側に追いやられています。ですからプラタナスの並木道を歩くと人が車から都市を奪い返したような快感があります。しかも都市の大通りには普通、世界中どこにでも見られるファッショナブルな有名店が並ぶものですがラ・ランブラスはバルセロナ市民たちの生活を感じさせてくれる大通りです。
世界中のどこの都市に行っても大通りは活気があり賑やかです、しかし大通りに花屋さんが並ぶような風景は見られません。ラ・ランブラスには花屋さんが並んでいるのです(写真1)そして南国の光を浴びた強い色彩の花々は歩く人たちの心を踊らせてくれます。近くにボケリアと呼ばれる食料品市場があるので花市は光のあたる大通りでということになったのでしょうか。そのボケリア市場の中に入るとフルーツ・野菜・魚貝類・肉類(特にハム)の豊かさに驚かされますが、それ以上に驚くのは赤を中心にしたカラフルな色彩の豊かさです。特にスペインの誇る唐辛子の店を見るとその感は強くなります。心は踊り熱くなって行くようです。しかもところどころにカウンター・バル(bar飲み屋)があり新鮮なものをその場で味わえるのです。バカリアには楽しい雰囲気が溢れています。
ラ・ランブラスはおよそ1.5kmの長さでやや下り坂、海まで出ると60mの塔がそびえています。塔の上にはコロンブスの巨大な像が立ち異常に長く造られた指が大西洋を指さしています。邦人でも知らない人はいないこの人物こそヨーロッパ人たちを地中海から外へと向かわせて新大陸を紹介し同時に16世紀のスペインを<太陽の沈まない帝国>へと導いた英雄になります。また、コロンブスの塔に至る間にもラ・ランブラスにはモデルニスムと呼ばれるファンタスチックな建築が並び歩行者の眼を楽しませています。機能的かつ合理的な、つまり味気ない現代建築を見ている私達は遊び心が溢れているモデルニスム建物を見て心和やかになるはずです。と言うのもモデルニスムが自然をモチーフにしているからです。その極め付きは建築家ガウディ(1852−1926)のサグラダ・ファミリア大聖堂でしょう。
遊び心と言えばバルセロナでは他にも色んなところで遊戯心を発見できます。例えば、地中海で捕れるイカ、日本なら捨てて来たそのイカの墨を料理に使うという発想です。それはイカスミで作るパエラのことです。イカスミパエラは、ご飯は白い物、白いものがご飯と神代から信じて来た日本人の価値観を完璧に否定しています。ご飯が黒いなんて!この究極の唖然さは大和人の食の価値観の見直しを迫るぐらいです。 |