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■ワインを造るマダム・ジゼル

夏のヴァカンスで多くの観光客が訪れるロワールの名城・シャンボール。
お城へ向かう途中にある菩提樹の並木の下ではかわいい地方物産市が行われている。
 ぶどうの収穫で忙しくなる前にマダム・ジゼルは自ら造るワインをシャンボールに売りに来る。マダムが造るワインはほとんど知られていない。だからプロモーション(宣伝)も兼ねているようだ。ワインの名称はCoteau du Vendomois(コトー・デュ・ヴァンドモア)と言う。(写真1)            
 

(写真1)
 
 フランス最長の大河ロワール( LOIRE)に並行してその北手をロワー(LOIR)と言う川が流れている。川はヴァンドーム(Vendome)の町を過ぎるとなだらかな丘を造りぶどう栽培に適している。この丘陵をCoteau du Vendomoisと呼びワインの名称にもなっている。丘陵にある小さな村Lunay(リュネー)からマダム・ジゼルはロワール河を越えてシャンボール城までやって来る。
 マダムが造っている赤ワインはザクロ色にややレンガ色が添えられて、口に酸味のあるしっかりした手ごたえを感じさせる。ブドウの木の品種はブルゴーニュ地方で使われるピノ・ノワールやボルドー地方のカベルネ・フロンで、それに加えて珍しいピノ・ドニス( Pineau d'aunis)を使っている。マダムのワインの美味しさの秘密はどうやら最後の品種にあるようだ。熱いCivet de lievre(シヴェ・ドゥ・リエーヴル・玉ねぎやマッシュルームなどと赤ワインで煮込んだ野兎のシチュー)に合うと言う。一方、白の方は蜂蜜やアカシアの香りがあり口に爽やかだ。クリーミーなチキン料理に合うと言う。またパンフレット(写真2)を見ても分かるようにマダム・ジゼルはロワール地方の名物ヤギのチーズも自ら造っている。白ワインはこのヤギのチーズとも相性が良いそうだ。
 

(写真2)
 
 そして、マダム・ジゼルがひそかに自慢にしているものがある。男性ではとても思いつかないワインジャムだ(写真3)。可愛い瓶にはぶどうの木の品種が書かれている。ワインジャムには品種によって微妙な味の違いがあるので試飲ならぬ試食がしたくなる。
 ロワー川は360kmほどありアンジェー(Angers)の北郊外でサルト川と合流しやがてメーヌと名前を変えてロワール河と合流する。平穏なロワー丘陵にある小さな村からマダム・ジゼルは自ら造ったものを運んで来て、ルネッサンス時代最大のお城・シャンボールの前で名もないワインを元気に販売し宣伝している。旅の楽しみはこういうところにも転がっている。
 マダム・ジゼルは大きな農家を貸し部屋(Gite rural)にもしている。古城めぐりに疲れた体を癒すためロワー丘陵で過ごす?面白い旅の企画にならないだろうか。また、パリからTGVに乗ればヴァンドームの町まで40数分で着く。きっとマダムが駅まで迎えに来てくれることだろう。
 

(写真3)
 

協会HP文化部





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