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■ルーブル・知られざる絵画
<ライン渡河を命ずるルイ14世> ジョゼフ・パロセル Joseph Parrocel




  パロセル(1646-1704)はイアタリアで戦争画に秀れた師ジャック・クルトワ Jacques Courtois に長く学びました。生き生きしたタッチが特徴で、1675年帰国してベルサイユの建築現場で活躍するが、絵の主題と仕上げが余りにも自由であったために賛美されながらも解雇されました。15年間は王国からの注文はありませんでしたが友人のシャルル・ドゥ・ラ・フォッスCharles de la Fosse(ベルサイユ宮殿アポロンの間天井画作者)が王立アカデミー主席画家になると制作の注文が入ったのです。それは1697年のことですが、注文された絵はルイ14世の若き時代の栄光、<ライン渡河>(1672年)がテーマでした。
  ライン河を挟んで遠景にはオランダの町並みが見え、前景には前足を挙げていきり立つ鹿毛馬に騎乗した33歳のルイ14世がいます。指揮杖を手にした王は今ライン渡河の命令を下しています。すると王の背後では大砲が一斉に鳴り響いたようで白い煙がもうもうと立ち上がりました。そして、ラッパや太鼓の響きに鼓舞されてフランス王国軍がライン河に突入し始めました。対岸のオランダ軍が敗走している様子も描かれています。
  この作品は実際に従軍した御付き画家の絵に着想を得て描かれ、ルイ14世のマーリー宮を飾っていましたが、(フランス古典主義の)丁寧で、細かく、落ち着いた画風で飾られていた絵全体に合わず取り外されてしまいました。ファンタスチックな構成、激しい筆の動き、色彩の力強さはイタリア的です。パロセルはまたルイ14世を描くとき当時特異な色であった黄金色を使用し色彩の効果を引き出しています。


(協会翻訳)



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