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■マルセイユでブイヤベスを!!

 
フランスで2番目に大きな都市(まち)・マルセイユは日本人にとって歴史的に懐かしい港町です。日本開国時に初めてヨーロッパを訪れた遣欧使節団は先ずマルセイユの港に到着しています。その中には福沢諭吉も入っていました。1862年4月7日、パリ・リオン駅に到着した一行は開通して間もないリボリ通りを馬車で粛々と進みパレロワイヤル広場のホテルに到着しました。フランスではヴィクトル・ユーゴーが大河小説「レ・ミゼラブル」を発表した年でした。パレロワイヤル広場に着いた一行は巨大な石造りのホテルを見上げて<これが旅籠か!>と感嘆の声を上げたと言われています。使節団の目的は日本国に有利でなかった開港・開市問題に関するヨーロッパ列強国との交渉でした。一行が宿泊したホテルは現在アンチックのデパートと事務所になっています。広場から建物を良く見ますと2階上にGrand Hotel du Louvreと刻まれた跡が今でも残っています。そして現在この建物の中にジェトロ(日本貿易振興協会)が事務所を構えているのは先達の歴史的奮闘に敬意を表しての事でしょう。
マルセイユは古代ギリシャ人達が開発した植民都市・港町でマッシリアと呼ばれていました。この古い港(Vieux Port)は今でも都市の中心で、今では所狭しとヨットが浮かんでいます。この旧港を見守るようにそびえ立つのは丘の上のノートル・ダム・ド・ラ・ガルド大聖堂で、出港する船の安全を見守り(ガルド)続けています(写真1)。
 

写真1
 
Vieux Portで獲りたての魚を大声で売りさばくオバサン達や港に沿ってずらりと並ぶ海産料理店は日本人をことのほか喜ばせるマルセイユ風景です。そしてここで味わってみたい海産料理は、もちろん、世界的に知られる<ブイヤベスbouillabaisse>(写真2)です。
 
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写真2
 
ブイヤベスは地中海で獲れる魚の煮込み料理で、もともとは売れ残った魚や売ることができない魚をごった煮して作った家庭料理ですが今では名物化して<ブイヤベス憲章>なるものがあるぐらいです。ブイヤベス憲章によると使う魚はカサゴ、白カサゴ、ホウボウ、マトウダイ、アンコウ、アナゴ、オコゼ、足長ガニでその中から少なくとも4種類は使わなければならないということです。私達が日頃親しんでいるタイ、ヒラメ、タコ、イカは除外されています。またオマールエビやムール貝が外されている代わりにオプションとして伊勢海老とセミエビが認められています。スープは小魚を出汁に塩・コショウをして地元の名産であるオリーブオイルやトマト、タマネギ、ジャガイモ、ガーリックそしてハーブ(サフラン、フェンネル(写真3)ローズマリー、パセリ)を使って作り4種類以上の魚を白ワインか水で煮込んで行きます。
 

写真3
 
そして煮込まれた魚と出来あがったスープは別々にしてサービスされます。添えられるパンは揚げた固パンですがその上に南仏ガーリック・マヨネーズ(ルイユ)を塗りスープの中に浸し柔らかくして味わいます(写真4)。
 
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写真4
 
すると柔らかくなった固パンはとろけるようにして喉元を過ぎ体が急に熱くなって来ます。その時、冷やしたローゼ・ワイン、コット・ドゥ・プロヴァンス(Cote de Provence)を飲み干すのです(写真5)。味わうほどにローゼ・ワインは五臓六腑に沁み込み頬はローゼ色に火照って行くことでしょう。
 
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写真5
 
サムライ使節団が到着した歴史ある港を眺めながらプロヴァンスワインに酔いブイヤベスを堪能する。マルセイユならではのロマンの旅の味わいではないでしょうか。パリからマルセイユまでTGVで僅か3時間15分。<ブイヤベス満喫!日帰りの旅>の企画も可能です。

協会HP文化部



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