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■2014年のイベント! LV基金の美術館オープン!

 2014年9月新学期が始まる頃、パリに新しい美術館がオープンします。既に外観は姿を見せブローニュの森を散策するパリジャン達の度肝を抜いているようです。LV基金による新美術館がついに完成しました。
 

(写真1)
 
 美術館の外観は見る角度を変えるごとに大きく変形し色んな物体を想像させます。まず正面から見た時が特に圧倒的で、暴風に吹き倒されながら荒波を乗り越えて進む<ノアの箱舟>を想わせます(写真1)。横から見ますと巨大なエアバスの頭部のようです(写真2)。そして建物の後部は風に大きく膨らんだヨットの帆や開いて行く花を想像させます(写真3)。
 

(写真2)
 
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(写真3)
 
 パリ市長を招待して初めて訪れたLV社長は完成した美術館を<ブローニュの森の上に浮かぶガラスの雲>と表現しました。森の中から見ますと高さ46mの透明な物体は殆ど目立ちません。森はずれに建てられた新建築は当初保守的住民の反対運動に会い途中工事中断を余儀なくされたこともありました。しかしブローニュの森を所有するパリ市の後押しもあって設計クロッキーをLV社長が見て11年後、ついに美術館は完成されました。
  建築家はアメリカ人フランク・ゲーリー(Frank Gehry)。ゲーリー氏は脱構築主義の旗手と言われ、建築界のノーベル賞であります高松宮記念世界文化賞を1992年に、プリッカー(Pritzker)賞を1989年に受賞しています。また、神戸市にフィッシュ・ダンスと名付けられた文化センターも手掛けています。脱構築主義の建築は<破片のような形状、非線的設計手法、表層・表皮への関心、歪みや混乱を起こす非ユークリッド幾何学の応用>と紹介されていますが、まさしく建築を見ますとその感を深くします。
  したがって、展示されます作品はLV社長自らのコレクションですが、当然超現代的なものと想像されます。公開まで楽しみです。クラシックな作品を求めてパリを訪れる日本人観光客にとって超現代的作品は苦手なものかも知れませんが<LVの美術館>が出来たとなるとかなりの興味を示すことでしょう。また隣には154年の歴史を誇る遊園地ジャルダン・ダクリマタション(Jardin d’Acclimatation)がありますのでパリ滞在を違った形で楽しめること請け合いです。新美術館はこの遊園地の南部分を貰い、遊園地の雰囲気を壊さない形で設計されていますので将来を担う子供や若者たちの遊びの場になると言っても過言ではありません。しかもLV美術館は最も便利なメトロ・1号線のサブロン(Sablon)駅から遠くありません。
  正面から見た時に<ノアの箱舟>を想わせますLV基金美術館は<人は何処に向かって行くのか>と言う哲学的提議をしているように見えます。また<揺られても沈まず>と言うスローガンを持つ芸術の都・パリの紋章<波に揺れる船>そのものを表しているようでもあります。ARTこそが人を潤し人を救うと言う意味が込められた美術館かも知れません。
 

協会HP文化部
 

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