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■ノルマンディーの最も美しい村 ブーヴロン・オン・オージュ(Beuvron-en-Auge)



  <フランスの最も美しい村>という興味深い本があります。そこに紹介されている村を訪れますとハードスケジュールの旅行の仕方を考えさせられます。そこでは時計の針が停止しているかのような印象を与えるからです。ところで、<最も美しい村>になれるには条件があるようです。まず人口が多くないこと(2000人以下)、また昔日の風景を残しそれを保存し飾ること(花で飾り、電信柱を除去する等)そして宿泊する所を有することなどのようです。
  ブーヴロン・オン・オージュはこのような必要条件を全て満たしており、更にノルマンディー地方の香りを十分に包み込んでいるような村です。人口は233人(ミシュラン04年版)となっており、村の入り口から出口までは村人の数と同じくらいのメートルしかありません。この村の魅力は何と言ってもノルマンディーを象徴する木骨造りの家が多く残りしかもよく保存されていることです。木骨造りの家々は西洋ナシの形をした広場を囲んでまるでおとぎ話の国のように小さく片寄せあって並んでいます(写真)。それらは殆んどベルサイユ時代(17,18世紀)の建物です。また村の奥にはお城を思わせる立派な家屋があり、ひときわ目立っています(写真)。この建物は中世時代の面影を残す(見張りの塔)16世紀の建築で最も歴史があり、モニュメントに指定されています。小さなお城の中には、何と!、村長さん御夫妻が暮らしているそうです。
  ブーヴロンの村の周りには小さな川が流れています。昔はビーバー(Biberラテン語)が多く棲息していたそうです。ですから、村の名前はビーバーに由来してBeuvronとなったわけです。これで、かつて村になめし業者が住んでいたこともうなずけます。
  パリから高速13号線をモンサンミッシェルへと走る途中、カンCaenの都市20数Km手前の料金所を出ると、ブーヴロンの村までそんなに遠くありません。車を飛ばせるハイウエイは実に便利ですが味気がありません。旅の味わいは時にハイウエイを出てそこにある地方独特の風景や香りを肌で感じることではないでしょうか。実際、高速から出て、ブーヴロンの村に向かうとすぐにシードル(リンゴ酒)ルートの看板が眼に入ります。そして、三叉路にあるキリストの磔刑像、小人の国に入ったような印象を与えるメリー(Mairie村役場)、歴史はないと思われる小村にある歴史的なロマネスク教会、サラブレッドの牧場と牧場主の立派な家、肉牛の牧場、リンゴの木立の下で草を食む乳牛の群れ、などなど。まるで映画のひとこまひとこまのようにノルマンディーらしい風景が次から次に展開して行きます。
  そして、村に入るとパン屋さんの店頭にはバゲットやクロワッサンのほかにリンゴパイやクッキーなどノルマンディーならではのパティッスリーが並び、食料品店ではシードル、カルバドス(リンゴ酒の蒸留酒)、カマンベール、キャラメルやこの村あたりの名産チーズ・パヴェ・ドージュ(Pave d'Auge)が店いっぱいに香っています。また小路を覗いてみるとシードル醸造の家や酒樽(写真)、木骨造りのかわいい民宿の家(写真)を発見できるのです。このような小さな村の村角にカフェ(写真)までもあり!、また広場を陣取る大きな建物は昔日、市が開かれていたところですが、驚くべきことに星の付いた高級レストランになっているのです。このようにブーヴロンの村はどこを歩いても楽しく、また夢を与えてくれる村なのです。





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