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■植物の群生する建物
緑の風景画いっぱいの<セザンヌ・ピサロ展>(オルセー美術館)が大人気です。緑の空間がますます無くなっていく都会。そこに住む人たちが緑あふれる風景を求めるのは本能的な行為かもしれません。原始の古から人はいつも自然の緑と共存してきたことを都会人は今、ノスタルジックに感じ取っているのではないでしょうか?
そんな時代の流れの中で、パリには今年6月、新しい博物館が誕生します。原始文明博物館(ブランリー川岸博物館)です。そしてその博物館のとなりにある管理事務所は原始博物館にふさわしく<植物の群生する建物>(写真)になっています。
植物を垂直に群生させる発想を持ったのはトロピカル植物を研究してきたパトリック・ブラン氏(Patrick Blanc)。氏はフランス科学研究センター(CNRS)の研究員で少年時代から熱帯地方の植物に魅せられていたということです。氏の研究はロワール河のショーモン城で催される国際ガーデン祭で注目され、以来世界各国の建物を<垂直の庭>あるいは<コントロールされたジャングル>に作り変えてきました。
原始的なジャングルへの憧れは、植民地時代からか?フランス人にはあったようで、原始文明博物館の開館に先駆けて<パリのジャングル>(写真)と銘打ったアンリ・ルソー展が現在グランパレで催されています。アンリ・ルソーは原始的トロピカルな世界を純真素朴な想像で描きフランス人には奇異な眼で見られているようですが、石の建築に慣れ親しんでいるパリジャンにとってパトリック・ブランの<植物の群生する建物>も奇異に写るようです。当のブラン氏も髪をグリーンに染め、ズボンまで緑色といういでたちの、なかなか奇異な人物なのです。 この<植物の群生する建物>は新博物館誕生のおりにきっと注目されることでしょう。
協会編集部
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