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■ロンドンガイド協会のパリガイド協会訪問記

  EUでヨーロッパもますます小さくなり、ロンドンからパリへはユーロスターで、ドーバー海峡の下を通れば2時間35分で行けるようになりました。 そこで、今年ロンドン日本語観光ガイド協会の会長になったのを機にパリのガイド協会を訪れることにしました。
  前から興味があったのですがどうやってコンタクトを取るのか分からないまま何年か過ぎたのですが、ホームページがあるのを発見して早速、パリ会長と連絡を取り、念願の訪問がかなえられました。
  待ち合わせはルーブル博物館のピラミッドの下と決まりました。ルーブルは絵画もあれば、考古学的な物、工芸品も有するすごい博物館でロンドンで言うと、大英博物館プラス、ナショナルギャラリープラス、ビクトリアそしてアルバート美術館がくっついたような規模です。
副会長の宮永さんも来て下さってカフェでお会いし、話をしました。彼女は絵画に詳しいのでもうすぐホームページにダビンチの<岩窟の聖母)の解説を載せるとおっしゃっていました。ナショナルギャルリーにも同じ絵があるので違いや解説も楽しみです。   今、<タヒチのゴーギャン展>があるから是非行ってみたらと勧められたので行ってみると長蛇の列。展示は充実しており土くさいゴーギャンの黄色と、特に印象に残ったのはターコイスがかった青で、北の国はあまりお目にかかれない色で、熱気をその色から感じました。
  翌日、ふたたび パリ会長と会い、ノートルダム寺院をガイドしてもらいました。寺院の近くでは日本人グループを案内しているお仲間の姿をお見受けしました。<彼は画家なんですよ>−−−さすがパリ。きっと日本人画家はたくさんいるのだろうなと想像しました。
  ノートルダム寺院の北と南では赤と青色の分量が違うということです。内部から見ると本当に美しい。寺院の壁は国有で礼拝中でも見学ができるという。 その後、お菓子屋さんに連れて行ってもらいました。その夜、私はウエールズの田舎から来る友人に夕食を作ってあげることにしており、そのデザートを是非パリで買っていこうと思ったのでした。彼が選んでくれたのは大きくシンプルなパイで、中に焼き物が入っているという。それが当たった人には幸福がやってくるという伝えらしい。
  帰りのユーロスターで色々と有り余るほどの楽しい会話を思い出す。フランスのブルターニュ地方は、イギリスのケルト人が移住した所(ブリトン人)。イギリスの最初の王様は、フランス人から見るとノルマンディー公のイングランド征服がーーーなどなど次から次へと切りがない。
  ロンドンへもどり、夕食の後、パイを切ると切断面から木こりのような人形が出てきました。きっと幸せはみんなのもとにやってくるだろうと理解しました。そしてパイのおいしいこと!幸せはもうやって来てくれたのです。
  二日間のパリ滞在で大変に勉強になりました。パリ ロンドン間の距離が縮まり、これから両ガイド協会間で興味深い交流始まれば良いなあと強く思いました。パリガイド協会の皆様の健康と発展を祈りつつ、訪問記を送らせていただきます。


元英国ガイド協会会長
稲垣 由美子








■イギリスガイド文化事情

  私たちのホームページを開いて感動しわざわざパリを訪れてくださいました英国ガイド協会会長稲垣女史と文化面での意見交換ができましたので、ここにその一端を紹介いたします。これを機会に英仏両国ひいては日本の歴史文化の意見交換が深められることを願っています。
  まず英国ガイド協会は、インターナショナルガイドデーである2月21日に、在英日本人に無料のガイディングをサービスして自らの職業の宣伝と向上を図っています。案内の対象になる観光スポットは大英博物館、ナショナルガラリーを中心にしてますが、徒歩によるガイディングやバスによる場合もあります。バスはギルド(全英ガイド協会)を通してバス会社から借りられます。

  普通、日本のグループを案内する時の大英博物館の人気スポットはロゼッタストーン、ミイラ、パルテノン神殿のフリーズになっています。特にロゼッタストーンの前は人気が高く、前もってコピーを見せておいて、実物の前では自由見学させる場合もあります。この記念碑にはナポレオンのエジプト遠征と古代エジプト文字の解読というセンセーショナルな歴史が絡んでいるために日本人でも知らない人はいません。アブキール湾の戦いに敗れた翌年、ナポレオンがエジプトをひそかに脱出したために、イギリスの所有に落ちたロゼッタストーン。ルーブル美術館にあったならと想像すると身の震える思いです。英国ガイドはこの記念碑のために私たちよりエジプトを調べているかもしれませんね。

  また、ナショナルガラリーでの人気は<ゴッホのひまわり>、<岩窟のマリア>(ダ・ヴィンチ)、<聖アンナと聖母子像>(素描ダ・ヴィンチ)、<アルフィーノ夫妻の結婚>(ファン・アイク)そしてレンブラントの<自画像>です。ゴッホについてはこちらが本場。彼らがどのようにゴッホをとらえ、どのように<ひまわり>を説明しているのかネットを通して意見交換するのも楽しみです。また<聖アンナと聖母子像>の完成図はルーブル にあるわけですから、素描との比較が楽しみです。
  私たちはよくロワールの城を案内してきました。そして、ここ数年来、モンサンミッシェル訪問が多くなっています。いずれもイギリスとの関連なしには語れません。
  百年戦争のこと,ブルターニュのこと、ノルマンディー大公のこと、英語のことやロビンフッドのことなど意見交換の興味は尽きず、また外から見るフランス史もかなり面白いものになり、知識に幅が出ること請け合いです。
例えば、フランソワ一世とヘンリー8世が会見したCamp de Drap d'Orを稲垣女史は<錦野の会談>(にしき野)と言いましたが、フランスのガイド諸氏はいかなる日本語を使っているでしょうか。
  また個人的な話になりますが、ロワールからモンサンミッシェルに向かう時、ブルターニュ地方の話をします。この地方はその名称からして当然イグランドと関係があるわけです。ブルターニュと言う名称はイングリッシュ(アングロ人)によるグレイトブリテン島への侵入によって島人たちがヨーロッパ本土に追われ住み着いたことに由来していると考えていた私でしたが、ローマの侵略によると正されました。ローマ人は島人たちをBritonと呼びました。このようにして自らの知識を訂正したり、相手に考えさせたりして両者は互いに啓発研磨しあうことになります。ホームページを通した国際的な意見の交換は大いに期待が持たれます。日本からの意見も待ちたいものです。


浜田 達郎
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